発達障害と脳⑥〜感覚統合あそび
2018-03-19 更新
はじめに
発達障害の子供は、大まかにいって「感覚」に問題を抱えています。見る・聴く・嗅ぐをはじめとする五感、さらに、前庭覚・固有覚の二覚にトラブルがあることで、言語コミュニケーション・非言語コミュニケーションの両方がうまくできないことが多いのです。
これは、乱暴で粗雑なものの扱いをしたり、落ち着きがなかったりといった形で表面化するケースもあります。自宅でできる五感二覚のトレーニングで改善を目指しましょう。
五感二覚を訓練するときのポイントは?
障害を持つ子供の訓練は、アプローチにコツがいります。具体的なトレーニングの事例を紹介する前に、注意したいポイントをおさえておきましょう。
- ・子供が楽しむための工夫を
- 最も大切なのは、子供が楽しみながら訓練できるよう工夫することです。嫌々トレーニングをしている状態では、感覚が育ちません。子供をよく観察し、楽しめるポイントを探りましょう。
- ・厳し過ぎない目標設定
- レベルが高すぎる目標を与えても、やる気をそいでしまう結果となります。「なんとかできそう」と感じるくらいの易しい指示からはじめて、徐々に高度なものへと切り替えていくといいでしょう。
- ・説明は分かりやすく
- トレーニングに関する説明をするときには、やさしい言葉で分かりやすく伝えます。言葉で上手に伝わらないと感じたら、手本を見せ同じ動作を真似させましょう。
- ・ゴールを明確に
- 障害を持つ子ははじまりと終わりが分からないと不安を感じることもあるため、「ここまでできたらこれはおしまい」とゴールを明確にしておくことも重要です。だらだらと訓練が続くことがないようにしてください。また、子供が嫌がった場合は、無理に続けるのはやめましょう。
有効なトレーニング方法をご紹介!
では、以下で具体的なトレーニング方法をご紹介していきます。
- ・運動機能が心配な子におすすめな、クッションのキャッチボール
- 運動が苦手、椅子にじっと座っていられないという子供におすすめな訓練は、クッションのキャッチボールです。子供と程よい距離をとり、向かい合って座ったら、クッションを投げてキャッチさせましょう。キャッチしたクッションは、取りやすい位置に投げ返してもらいます。
両手を使い胸のあたりで受け取ること、相手が取りやすいように投げるためにはどうしたらいいのかを意識させると効果的です。自分の体の取り扱い方に慣れていくことができるでしょう。
- ・聴覚過敏の子におすすめな紙ちぎり
- 周囲の音に敏感すぎる子の訓練では、音に慣れることに重きをおきます。新聞紙や包装紙など、やぶりやすい紙を用意して細かくちぎる作業をさせてください。どの位の大きさにちぎるのか、どんな形にちぎるのかを説明した上で取り組ませると集中力がアップします。
手先を使った動きになるので、細かな作業が苦手な子にも有効です。薄い紙を簡単にちぎることができるようになったら、ボール紙や厚紙に切り替えて難易度を調整しましょう。 目と体のバランス感覚を養うことができます。
- ・集中力が足りない子には玉運び
- 1つの物事に集中して取り組むことが苦手な子には、玉運び訓練をおすすめします。必要な道具は、台所のお玉と小さめのお手玉だけ。リビングにスタートとゴールのひもを置き、お手玉を落とさないようにお玉でゆっくり運ばせます。一定のスピードで玉運びができるようになったら、障害物を置いたり、コーナーをつけたり、コースの難易度をあげていきましょう。
注意点は、玉運びをしている最中に、テレビを見たり、よそ見をさせたりしないこと。「落とさないで運ぶ」という行動に集中できる環境を整えた上で訓練をさせましょう。
以上で紹介した3つのトレーニングの他、おしくら饅頭や手遊びを加えた童謡など、昔ながらの遊びにも感覚を強化する効果が期待できます。また、掃除や洗濯、お米研ぎ、おにぎり作りをはじめとして、家事を手伝ってもらうのも立派なトレーニングのひとつ。一定年齢になったら、家事の担当を与え毎日こなす習慣をつけさせるのもいいでしょう。
自宅でできるトレーニングを根気強く行うことで、克服できる課題は多々あります。楽しみながらできる訓練を行っているうちに、日々の生活の中で自然と問題が解決できるようになると理想的だといえるでしょう。
コラムメニュー
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- 障害者手帳の取得について
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- 発達障害児の就学先決定までの流れ
- 言葉の遅れへの療育のポイント
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- 発達障害と自己肯定感
- ペアレントトレーニングとは
発達障害と脳
- 脳機能の障害とは?
- 原始反射の残存
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- 脳のコントロール機能の持続法
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