ペアレントトレーニングとは
2018-03-19 更新
はじめに
コミュニケーションを上手く取ることが出来ない子供や、衝動的、突発的に行動してしまう子供など、発達障害を抱える子供を持つ親の多くは、子育ての難しさに悩んだ経験があるはずです。
子供の良い部分を伸ばし、その子が持つ可能性を伸ばす方法を知ることで、親子関係がよりスムーズになるのであれば、それはとても幸せなことではないでしょうか。ここでは、近年注目が集まる「ペアレントトレーニング」について詳しく説明していきます。
ペアレントトレーニングってなに?
子供はしばしば「してほしくない行動」を取ってしまうことがあります。そのとき、つい感情的になって子供を叱ってしまったがために、子供が反抗してどんどんエスカレートしてしまうという負のスパイラルに陥ってしまった経験は、どんな親御さんにもあるはずです。
このような、子育てにストレスや悩みを抱えている親子を支援する方法のひとつとして近年注目されているのが、ペアレントトレーニングです。親が子供の問題行動のパターンや心理を理解、分析し、適切な対応を取ることによって問題行動を減らすことができるという、親子のための対処プログラムです。
発達障害児の多くは、コミュニケーションや行動面での問題を抱えていて、親や教師などから叱責されてしまうことが少なくありません。叱られるという経験が積み重なると、子供の自尊心や自己肯定感を傷つけることへとつながり、不登校やいじめ、引きこもり、家庭内暴力といった二次障害を引き起こす原因となってしまいます。
ペアレントトレーニングは、「子供をほめること」が全てのベースになっているトレーニングであり、子供の自己肯定感を高め、良い部分を伸ばして可能性を広げるのに大変効果的だと言われています。
ペアレントトレーニングの内容
ペアレントトレーニングでは、子供の行動に対し、適した言葉がけや接し方を学んでいきます。具体的な内容について、主なポイントは次の3つです。
- ①子供の行動を分析、分類し、理解する
- 普段の子供の行動を、「増やしたい良い行動」、「減らしたい問題行動」、「危険な行動」などに分類し、それらが起きるパターンや心理を分析します。またどうしてそういった行動を起こすのかということを理解することで適切な対処法を学んでいきます。
- ②子供の良い部分を認めて褒める
- たびたび問題行動を起こす子供に対しては、「この子は手のかかる子だ」とついつい悪いところばかりに注目してしまいがちです。問題行動だけに注目するのではなく、普段の生活でついつい見逃してしまいがちな、子供の良い部分をしっかりと見つけて褒めるコツを学んでいきます。
- ③子供に応じた適切な指示を出す
- 「○○しなさい!」「○○はだめ!」というような指示の出し方は、子供にとっては逆効果です。怒られていると感じることで、子供はより反抗してしまうことがあるからです。子供の性格や問題行動のパターンに応じた適切な指示の出し方、指示に従わなかったときの正しい対処の方法を学んでいきます。
ペアレントトレーニングを学ぶ方法
発達障害を抱える子供が増えたこともあって、ペアレントトレーニングに対する注目が高まっています。ここ数年で講座やワークショップの数も多く増えていて、ロールプレイなどを通して具体的な声がけを学ぶことができる講座や、発達障害の子供を持つ親を対象とした講座も多数開かれています。
ただし、ペアレントトレーニングの講座の多くは、親子での参加が不可だったり託児がなかったりするため、参加することが難しい人も多いようです。そのような場合には、書籍を利用して学ぶことも可能です。ペアレントトレーニング関連の書籍は多数あるので、子供に合ったトレーニング方法を選ぶことをオススメします。
コラムメニュー
- 発達障害の特徴
- 発達障害の原因
- 発達障害は遺伝するの?
- 発達検査の方法や診断結果
- 自閉症の特徴
- 自閉症への対応と治療方法
- アスペルガー症候群の特徴
- アスペルガー症候群への対応と治療
- 多動性障害ADHDの特徴
- 多動性障害ADHDへの対応と治療
- 学習障害(LD)の特徴
- 学習障害(LD)への対応と治療方法
- 発達障害の療育の種類と内容
- 発達障害の家庭療育のメリット
- 発達障害の支援のポイントまとめ
- 発達障害から起こる二次障害
- 障害者手帳の取得について
- 発達障害児の進路
- 発達障害児の就学先決定までの流れ
- 言葉の遅れへの療育のポイント
- 発達障害と感覚の問題
- 発達障害とワーキングメモリー
- 発達障害と自己肯定感
- ペアレントトレーニングとは
発達障害と脳