発達障害から起こる二次障害
2018-03-19 更新
はじめに
早い段階で子供の発達障害に気づき、その子供に応じた適切な教育や治療を行う「早期発見、早期療育」が、発達障害の子供たちが自分らしく育つために、何よりも大切なことです。発見と療育が遅れることにより、障害の改善がされないばかりでなく、新たな二次障害を起こす危険性もあります。
ここでは発達障害の発見や療育が遅れることによる二次障害について詳しく説明していきます。
発達障害を早期発見するためには
子供の発達障害は、その症状が軽度なほど発見が遅れてしまう傾向にあります。特に未就園児のように集団生活が始まる前の子供たちの場合、その症状が障害によるものなのか、それとも年齢特有の個性やわがままによるものなのか、ということは家庭内の様子だけで判断するのは困難です。
発達障害に気づかないまま幼稚園や学校などの集団生活に入り、たびたび問題行動を起こすようになって、初めて自分の子供が他の子供たちと何かが違うということを感じ、発達障害を疑うというケースも少なくありません。
一方、仕事柄たくさんの子供たちと接している保育士や教師は、子供たちの違いに対してとても敏感です。友だちとの関わり方や授業中の様子など、その子供の集団生活での様子を通して、比較的早い段階で発達障害の疑いを持ちます。
しかし、多くの教師は、発達障害の可能性があることを親にダイレクトに伝えることは少なく、それとなく他の子供との違いについて指摘をするに留まる場合がほとんどです。
教師が親に伝えられない理由は、そのことを聞いた親の多くが猛烈に反発することが原因のようです。
もし、面談などで教師からそれとなく指摘があったときには、その事実を受け止めて、内容を詳しく尋ねることが大切です。教師の正直な考えを教えてもらうよう親の方から切り出すことで、率直な意見を知ることが出来るのではないでしょうか。
二次障害について
発達障害の子供たちにとって最も不幸なことは、問題の発見が遅れて適切な療育や治療を受けるチャンスを逃してしまうことです。早期発見がされていれば、その年齢に応じた適切な療育や対応をとることができ、子供にとって生活しやすい環境づくりが可能です。
ところが発達障害に気づかなかった場合、学校での集団生活に馴染むことができず、「二次障害」が起きる危険性が出てきます。
二次障害の具体例としては、言葉遣いや反応が他の子供と違うことをからかわれているうちに、イジメの対象となってしまうケースや、意思の疎通ができないために、たびたびかんしゃくをおこしてしまい、周囲から敬遠されてしまうケースなどがあります。
集団生活において自分が受け入れられていないという思いから心を閉ざしてしまい、不登校や引きこもりになってしまう子供や、自分自身を大切に思うことが出来ず、自傷行為を繰り返してしまう子供も少なくありません。
こうした二次障害を防ぐには、親が普段からいろいろな場面での子供の様子を積極的に知るように心がけ、日頃から子供の言動に注意をしたうえで、学校と密な連携を取ることが大切です。
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