発達障害の特徴
2018-03-07 更新
はじめに
「落ち着きがない」、「集団行動ができない」といった子供たちは、以前なら「少し周りと違うけど、性格や親のしつけの問題」と考えられていました。しかし「発達障害」という言葉の認知が広まったことで、自分の子どもが発達障害であることを疑い、専門機関に受診するケースが増えています。
ここでは、発達障害の子供達によくみられる特徴や行動について説明していきます。
人との関わりにおける特徴
乳児期のほとんどの子供は人見知りを経験します。これは、自分が信頼している親と他人とを区別する『愛着行動』の現れで、成長の課程だと言われています。親の姿が見えないと泣く『後追い』もその一種です。
ところが、発達障害の子供達は自分と相手との関係を正しく理解できないことが多く、誰に抱っこされてもにこにこしていたり、逆に人見知りが激しく親以外の人と関わることを極端に嫌ったりすることがあります。
また、人に対する無関心も特徴のひとつで、ひとり遊びが多く、お友だちに興味を示さない傾向があります。人と遊ぶ場合も、同年代の子供と波長が合わないことが多く、大人や年上の子にリードされて遊ぶか年下の子どもを仕切って遊ぶことを好みます。
コミュニケーションや行動における特徴
乳児期を過ぎると、発達障害の子供に特徴的な言動がみられるようになります。
大きくなっても人とのコミュニケーションが苦手なことが多く、話しはするけど一方的に話し続けたり、相手の気持ちを考えずに発言や行動をしてしまいます。
以下が特徴的な言動です。
- 言葉は話すけれどいつも一方的で会話にならない
- 大きくなっても、耳にした言葉をそのまま繰り返して言う「オウム返し」をする
- 相手の気持ちを考えずに失礼なことを口にする
- 興味のある言葉は発するが、パパやママなど相手を呼びかける言葉を発しない
- バイバイをするとき手のひらを自分の方に向けて手を振る
- 呼びかけたり話している最中に視線が合いにくい
- 知らない人でも極端に目を凝視する
想像性における特徴
こだわりの強さや反復的な行動も発達障害の特徴のひとつです。
- いつでも同じ道順にこだわる
- 物の配置に細かくこだわる
- 数字やアルファベット、車のタイヤなど特定のものに偏った関心を持つ
- つみきなどのおもちゃをひたすら一列に並べ続ける
このような強いこだわりが顕著に現れるようになってきます。
また、ままごとや、ヒーローごっこ等の「ごっこ遊び」が苦手です。ごっこ遊びは先のストーリーをその場で想像しながら遊びを進めていきます。発達障害の場合、想像力が乏しいことが多く、これらのごっこ遊びは対応することが難しいのです。
即座に対応する創造性や柔軟性の乏しさから急な予定変更等があるとパニックになりやすい傾向もあります。
感覚における特徴
聴覚、味覚、触覚といった感覚の過敏さも目立ち、日常生活におけるさまざまなことがスムーズにいかなくなってきます。
- 母乳やミルクを飲むのが極端に下手(触覚異常)
- 大きな音が苦手でちょっとした音にも敏感に反応して耳をふさぐ(聴覚異常)
- 抱かれると体をのけぞらせる(触覚異常)
- 触られることを嫌う(触覚異常)
- 靴下を嫌がって脱いでしまう。同じ服を着たがる(触覚異常)
- 食べものの好き嫌いが激しい(味覚異常)
運動・学習における特徴
幼稚園などに入園し、集団生活や学習を行なうようになると運動面や学習面での特徴が目立ち始めます。
- 遊戯の振り付けが左右逆になる
- 姿勢が悪くて寝転がることが多い
- 飛び跳ねるようにして歩く
- 極端に不器用、食べこぼしが多い
- 鏡文字を書く
- 字を読むと頭が痛くなる、逆さに読む
- 句読点が理解できない
- 黒板の文字を書き写せない
- 数のくり上がり、くり下がり、数の大小が理解できない
以上のような症状が目立ちます。学習能力は人によりさまざまで、非常に優秀な成績の子もいますし学習が苦手な子もいます。学習が極端に苦手な場合は特殊学級に入ることもあります。
鏡文字を書く、字を逆さまに読む、黒板の文字を書き写せない、数の大小が理解できない、忘れ物が多い、身支度ができない、といった学習面での特徴が原因で小学校生活につまずいてしまうケースも多く見られます。
注意力、集中力、情緒における特徴
何かに集中すると他のことに全く気づかなくなったり、全く集中できなかったりと注意力や集中力のバランスが保てない場合があります。また、感情の起伏も大きく、感情が抑えられずにパニックになったり、怒り出したりといった行動も見られます。
- 忘れ物が多い
- 身支度や片付けができない
- 1つのことに没頭すると話しかけても聞いていない
- 落ち着きがない、集中力がない、ぼんやりしている
- 他の子が怒られていても泣いてしまう
- 夜泣きがひどい、寝つきが悪い、夜中によく目をさます
- ささいなことでもカッとなりやすい、予定通りにいかないとパニックになる
- 感情が高まるとなかなか興奮がおさまらない
- 勝つことにこだわりが強い、ゲームに負けると本気で怒る
発達障害の子供が、社会に適応して自分らしく生活していくためには、関わる人たちが正しい知識を持ち、適切な療育や周りのサポートを受けることが重要です。もし、自分のお子さんがここで挙げた特徴に当てはまるところがあるならば、専門機関に相談してみることをおすすめします。
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