多動性障害(ADHD)への対応と治療方法
2018-03-14 更新
はじめに
多動性障害(ADHD)は実際には多動だけを示す障害ではなく、注意欠陥の症状も含まれています。多動が目立つタイプを多動衝動性優勢型、注意欠陥が目立つタイプを不注意優勢型と分類しています。
今回は多動性障害を持つ子供への対応と、その治療方法についてご紹介します。
子供を知るために「多動衝動性」と「不注意」を知る
一般的に多動性障害といったときには、多動衝動性優勢型と不注意優勢型の両方を含めた使い方をされている場合が多いので、医師から多動性障害と伝えられた場合には、どちらが強く出ているのかを確認しましょう。
はじめに確認しておくことで、多動性障害を持つ子供が日頃どのようなことに困難を感じているのかを知ることができる上に、病院での治療や家庭内でのサポート方法を見直すことができます。
特に注意欠陥が目立つタイプは、障害であることに気づきにくく、本人の努力だけでは解決できないシーンにおいて周囲から酷く叱られてしまうなどの問題が起こりやすいため、早めの対策が必要です。
医師による多動性障害の投薬治療
多動性障害は他の発達障害と同様に、確実な治療法は確立されていませんが、薬によるコントロールがしやすいという特徴があります。薬によって集中力や注意力を高め、多動性障害の症状を抑えることが目的です。しかしながら、多動や不注意が落ち着いても、体重や身長の成長が遅いなどの症状が見られることがありますので、薬の変更や量のコントロールについて医師と細かい相談を繰り返しながら、投薬治療を行っていきましょう。
ご家庭でのサポート方法
病院での多動性障害の治療が開始されても家庭内でのサポートは欠かせません。特に投薬治療が行われている場合は、お子さんを良く観察し、ときには投薬治療の中断を申し入れることも必要です。
また、多動性障害の子にとって大切なサポートは、集中して勉強できる環境作りと、褒めてあげることです。子供の褒め方は、言葉や仕草で示すこと以外に、お菓子やゲーム時間の延長、少額の小遣いなど何かご褒美を決めて与える方法も有効です。
多動性障害の年齢による変化と治療法
多動性障害の多動の症状は、年齢と共に落ち着きます。また、多動性障害の子供を周囲の人が叱らないように気をつけることで落ち着くこともあります。ただし、これは多動性障害が治ったから落ち着いたということではありません。ちょっとしたきっかけで落ち着きを失うこともありますし、大人になっても片付けが苦手、提出物の期限が守れないといった多動性障害の特徴が改善されないこともよくあることです。
多動性障害の症状がどれだけの重さで出ているかによっても、対処法は異なりますが、重要なのは子供でも大人になってからでも、カウンセリングを受ける機会を持つことと、障害のことを伝えられる相手を持つことです。周囲に多動性障害についての理解がある人がいれば、それだけで暮らしやすさや生きやすさが大きく改善されます。
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