発達障害の原因
2018-03-07 更新
はじめに
文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校に通う生徒のうち、6.5%の子どもに発達障害の疑いがあるということです。これは1クラス40人の中に、およそ2〜3人という計算になります。発達障害が広く認知され、身近な存在となった今、正しい知識を身につけて理解を深めていくことが大切です。
ここでは、発達障害になる原因について説明いたします。
発達障害の原因と定義
発達障害は、日本の発達障害者支援法で、次のように定義されています。
「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」
法律の文言の中にもあるように、発達障害は、脳機能の障害による、生まれつきの障害です。
しかし、脳機能に問題が生じていることの原因は、はっきりと解明されていないのが現状です。遺伝子異常、染色体異常、妊娠中の異常、分娩時の異常などの影響ではないかと考えられていますが、どれもまだ実証には至っていません。
発達障害は遺伝する?
発達障害は遺伝性の障害であるとも考えられており、両親のどちらか一方、もしくは両方が発達障害であった場合、子供も発達障害になる可能性が高くなると言われています。
しかし、両親共に発達障害であっても、産まれてきた子供には障害が無い場合もありますし、その逆に障害の無い両親から発達障害の子供が産まれてくることもあります。
以前は発達障害と言う言葉が認知されていなかったため、自身が発達障害であることに気づいていない親もいます。自分の子供が発達障害であることをきっかけに、自分自身が発達障害であることを知る場合も珍しくありません。
妊娠中による原因
妊娠中の妊婦からの影響により発達障害になる可能性もあります。
その1つが妊婦の喫煙です。妊娠中の喫煙により多動性障害(AD/HD)を持った赤ちゃんが産まれる確率が2倍以上に上がるという統計結果も出ています。
次に妊婦の飲酒も原因として挙げられます。妊娠中の大量の飲酒は以前から、障害の原因とされていましたが、わずかな量でも赤ちゃんに障害が発生する可能性が認められています。
これらの予防法は、喫煙、飲酒を一切しないことに尽きます。飲酒についてはアルコールを一切飲まなければ、100%防げます。しかし喫煙については、自分が吸わなくても周囲の喫煙者の副流煙を吸ってしまう受動喫煙の危険性があります。
これはできるだけ喫煙している人に近づかないことが必要です。家族の中に喫煙者がいる場合は、全員で禁煙する等の協力が大切になります。
我が子が発達障害だと分かると、多くの親は自分のしつけが悪かったのではないか、子供への関わり方に問題があったのではないかと悩むのですが、発達障害は生まれる前に起きた様々なことが起因する先天的なもので、しつけや育て方に関わらず避けられない場合がほとんどだと言われています。
そのため、子供の障害に早く気付き、できる限り早期から治療を行なうことが重要になります。
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