アスペルガー症候群への対応と治療方法
2018-03-14 更新
はじめに
発達障害の中でも自閉症に属するアスペルガー症候群は、主に他者との関わりや想像力と創造性に困難を持つ人に診断される発達障害のひとつです。ほかの発達障害と同様、先天性の脳機能障害ではありますが、アスペルガー症候群の根本的な治療方法はなく、周囲による見守りが必要になってきます。
今回はアスペルガー症候群への対応と、その治療方法をご紹介します。
アスペルガー症候群の診断と治療
アスペルガー症候群の患者はときに自閉症と診断されることがあります。これはアスペルガー症候群には判断方法が2種類あるためです。コミュニケーションの障害が無いことを前提とする国際的な診断基準と、アスペルガー症候群でもコミュニケーション障害を伴うとするイギリスのローナ・ウイング博士の診断基準。
ただし、国内ではコミュニケーション障害を持つアスペルガー症候群の患者もいるという考え方で診断されることが一般的なので、医師の診断に疑問を持った場合、どのような基準で診断したのか確認しましょう。アスペルガー症候群と診断された子供に対して、医師が投薬治療を勧めることがありますが、これはアスペルガー症候群の治療薬ではなく、アスペルガー症候群の子が暴力的であったときや睡眠障害があったときに精神安定剤や睡眠薬などが処方されます。
アスペルガー症候群の家庭でのサポート
アスペルガー症候群の子供に生じやすい暴力行為や慢性的なイライラは、家族の接し方や教育によって軽減されます。アスペルガー症候群の子供は自分の伝えたいことをうまく相手に伝えられず、そのもどかしさがイライラとなり暴力行為に繋がってしまうことがあるためです。
アスペルガー症候群の子供とコミュニケーションを取るときには、答えを決めつけないことや誘導しないことが大切です。場合によってはイエスかノーで答えられる質問の仕方をするなど工夫をすることで、投薬治療を用いず、もどかしさやストレスを軽くすることができます。
投薬治療は副作用を伴うので、医師が必要と判断する場合を除いては積極的な使用は避けることをお勧めします。
アスペルガー症候群の子が抱える困難
アスペルガー症候群は知的障害を伴わないといわれていますが、ここで使われる知的障害とはIQ70未満のことを指しています。つまり、「知的障害を伴わない」とは平均レベル(IQ85以上)という意味ではありません。実際、IQ70以上85未満という子も多く、学習が苦手で授業についていけないことから、不登校や引きこもりになることもあります。
アスペルガー症候群の子供に勉強を教えるときには、簡単な計算問題で脳を刺激することを平行して行うと、スムーズに頭に入っていきます。また、アスペルガー症候群の子供は得意分野に類い希なる記憶力を発揮することもあるので、好きなものとうまく結びつけてあげることも有効です。
アスペルガー症候群の子供がまだ幼い場合、音や肌の感覚、光などに過敏であるため、子供と外出することに困難を感じることがあるかもしれません。しかし、外に出ることで多くのことを学び、順応力を備えていくこともできるので、外出の機会を奪わないようにすることが大切です。光に敏感な子供であればサングラスを使う、音に敏感であれば耳栓を使うなどして、必要に応じた工夫をしてあげましょう。
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