発達障害は遺伝するの?
2018-03-09 更新
はじめに
発達障害の原因は、現在も研究が進められている最中で、解明されてはいません。ただし多くの研究の中で、誤解されがちな「親の育て方が悪いから」「発達障害は遺伝する」という話は、発達障害の原因として否定されています。発達障害は先天性の脳機能障害で、発達障害と育て方に因果関係はないのです。
今回は発達障害の遺伝の有無や、発達障害を軽減するトレーニングなどをご紹介します。
脳機能障害要因と遺伝
自閉症をはじめとする発達障害の要因のひとつとして、近年よく言われているのは、脳の前頭連合野における機能障害です。
前頭連合野は人の社会性に大きく関わる部分で、発達障害以外に、問題行動のある子供の前頭連合野もうまく働いていないことがあるそうです。
ですので、発達障害そのものは遺伝性の疾患ではないと学説では言われています。
トレーニングによって軽減する障害児特有の不適応行動
発達障害と育て方の因果関係はありませんが、親子でトレーニングをすることで障害児特有の不適応行動を改善することは可能です。
実際、幼少期におけるトレーニングによって症状を改善させ、大学や大学院への進学を叶え、社会人として活躍している人もいます。親の関わり方次第で、発達障害児の将来を変えることはできるのです。
トレーニングは、療育、プレイセラピー、学習支援、ペアレントトレーニング、行動療法などを通して、社会性やコミュニケーションの方法を学んでいきます。子供の特徴に合わせて有効な療法を判断する必要がありますので、まずは医師や専門機関に相談してください。
発達障害を持つ子と親が幸せに暮らすためにできること
発達障害についての情報が広がっていくことで、ご自身も発達障害なのではないか、という疑いを持つご両親が出てくることもあるかもしれません。発達障害のお子さんを発達障害の親が育てるというケースは、とても難しい面があります。親自身がコミュニケーションに困難をきたす可能性があるために、子供とうまく会話ができない、子供への興味が薄いといった問題が発生しやすいからです。
また、自分の行動を途中で止められることを嫌う人は、集中しているときに子供に声をかけられることでパニックを起こし、子供を酷く叱ってしまうこともあります。
もし、自分の中にある罪悪感や心の葛藤を軽減することができれば、子供と上手く接することができるのに…という思いがあるなら、それを医師に伝えましょう。投薬治療やカウンセリングを受けることで改善することが可能です。
発達障害を持つ子供の健やかな成長には、ご両親の心身の健康も必要です。困ったことがあれば、遠慮せずに医師やご家族に相談しましょう。
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