学習障害(LD)への対応と治療方法
2018-03-14 更新
はじめに
多動性障害と似たような症状が起こる障害に学習障害(LD)があります。学習障害には薬物治療が用いられることもありますが、原因がはっきりと究明されていないため根本的な解決が困難な障害です。
今回は、学習障害を持つ子供への対応と、治療方法をご紹介します。
学習障害を持つ子に多い難読症
学習障害は他の発達障害と異なり、中学校入学後に分かることもある少し特殊な障害です。特に英語教師によって指摘されることが多いのですが、アルファベットや英単語を何度練習しても正確に覚えることができないことから、教師が難読症の可能性を指摘し、発覚することもあります。難読症は学習障害の一種で、日本では長らく難読症を持つ子供は勉強不足と考えられていましたが、疾患の可能性もあるのです。学習障害の子供の中には、文字がバラバラに見えるような症状を持つ子もいるため、特にアルファベットの「b」と「d」、「p」と「q」などは判別しにくいと言われています。
学習障害に気が付くことが治療の第一歩
学習障害を持つ子供の家族や教員は、学習障害に対する知識がない限り、子供に対して厳しくなりがちです。学習障害を持つ子供は元から勉強に興味がなかったり、嫌いだったりするわけではありません。学習障害を持たない子と同じ教材では、うまく学習できないだけなのです。
放置したままでいると学習障害を持つ子が勉強することに達成感を持つことができないと感じ、学習を放棄したり、学習の場に恐怖を抱いたりすることがあります。そうなる前に周囲にいる大人が子供の学習障害に気づき、専門医に受診させることが大切です。
医師による学習障害の診断と治療
専門医は知能テストを行い学習障害の診断をしますが、医師によっては脳の異常の有無を調べるために頭部のMRI検査などを行う場合もあります。この結果、脳の異常ではなく学習障害であると診断された場合、保護者に対して薬物治療を行うかどうかの確認をすることがあります。
薬物は主に注意力や集中力の向上を目的としたもので、薬を服用する期間だけこれらが改善されるというものです。薬物治療に頼らず家庭学習や、学校の協力を仰ぐことで、根本的な改善を図ることをお勧めします。
学習障害を持つ子の家庭学習
学習障害を持つ子は、「読み」・「書き」・「計算」に困難をきたします。この中の「読み」に関しては、教材を拡大コピーして使うことで、症状を改善し、学習を進めやすくすることができます。高校受験や大学受験の前に学習障害と診断されていれば、学校側に相談をすると、拡大した問題用紙を用意してくれることもあるようです。学習障害を持つ子供のサポートには、周囲の協力が欠かせません。
「書き」に関しては、鉛筆を持つこと自体困難な子もいます。これは早期からパソコン学習を取り入れることで対応可能です。実際、社会人になると手書きよりも、キーボード入力の方がメインになる職種が多いので、代替案としてパソコンを利用することで、書けない問題はクリアしましょう。
そして「計算」に関しては、反復練習が必要です。この際に保護者や教師は、子供が指を使って計算することを咎めないでください。反復練習をしていくうちに、学習障害を持つ子供でも、スムーズに二桁、三桁の計算ができるようになります。
また、かけ算の九九は暗記する必要はなく、無理せず九九の表を使います。簡単な四則計算ができれば、文章問題に対する学習意欲も出るので、九九を記憶するのは後回しでも問題ありません。
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